概要

奈良医大総合診療科では、患者様を総合的に診る診療科として、全人的にも医学的にも力強く患者様に寄り添い、患者様に納得していただける医療の提供を目指しています。

外来では、内科系新患患者の診療、どこの科でも診療対象になりにくい患者の診療(不明熱,体重減少,全身倦怠感,浮腫み、めまい、未診断・末期悪性腫瘍など)、患者の適切な専門科紹介(当日の専門科紹介は2割程度)、約6割の患者は当科で継続診療(安定したらかかりつけ医に逆紹介)を行っています。丁寧な問診、丁寧な診察をモットーに県内のターミナルホスピタルとして、見逃すことのできない責任感のもとに診断、治療に取り組んでいます。
新患患者については症例カンファレンスを毎日行っており、複数の上級医のチェックが入ることで可能な限り見落としがないよう努めています。

入院治療では、診断のついていない患者様、複雑な病態を抱えた患者様、救急患者様の受け入れを行っております。2012年4月の入院診療再開以降、非常に多彩な病態の患者様の入院治療を行っており、新・内科専門医制度の全ての症例群を網羅できる入院があります。
また当科の特徴として、多職種(看護師、薬剤師、リハビリスタッフ)合同での病棟カンファレンスを週1回行っています。病態だけでなく、患者さんの気持ちに答えるような医療を目指し、病態以外の患者様の背景を深く知れるような情報共有を行っています。

当科では2013年9月からER(Emergency Room:救急救命室)業務を行っており、救急車や他の医療機関からの急患紹介の受け入れを携わってきました。2022年4月からは奈良県立医科大学附属病院 365日ERの導入に伴いその役割を移行しましたが、当科は現在もERセンターの運用に携わっており、奈良県の救急医療体制の維持に貢献しています。

当科では血栓止血病態や膠原病に関連する研究などを行っております。2023年9月からはTTP(血栓性血小板減少性紫斑病)の患者様に対して、新薬カプラシズマブを用いた、血漿交換を使わない治療の有効性及び安全性を評価する多施設共同試験を行いました

当科の大きな使命は、患者様に安心感を持ってもらえるような、しっかりと寄り添う医療を提供できる総合診療の提供、それを担う総合診療医の育成と考えています。 患者さんに寄り添うには、気持ちはもちろんのこと、しっかりとしたレベルの高い知識のみならず、目の前の患者さんが急変した時に、適切に対応出来ることが必要だと考えます。ER診療を指導医の指導下で実践していくことで、2次救急患者対応にも自信をもった総合診療医が育成されていくものと考えます。そして2次救急患者の診療をおこなうERを充実させることで、奈良県の救急医療体制の充実を図りたいと考えています。

また、総合診療、救急医療のみなならず、リウマチセンターも運用しリウマチ膠原病患者様の診療も担います。また在宅医療支援センターも当科で運営しており、地域の在宅医療に携わる医師、医療職のサポートも行っています。
医療を取り巻くさまざまな問題、高齢化社会、看取り医療、在宅医療、救急医療などに対応でき、自信とやりがいを持ち、自分がかかりたいと思える総合診療医の育成が、医師本人にとっても、また奈良県の医療にとっても充実と安らぎを与えるものであると信じております。